11月24日から始まった世界チャンピオン戦の決着が付き、カールセンが勝利し、自身5度目となるチャンピオンの座を獲得しました!
日本時間の21時半からスタートだったので、毎日観戦していたのですが、今回のチャンピオン戦はカールセンの強さが際立つ内容でした。
一方挑戦者のネポはミスが目立ち、実力が発揮できていないように見えました。
The final handshake. #CarlsenNepo pic.twitter.com/CXyMQk2Xkc
— International Chess Federation (@FIDE_chess) December 10, 2021
チェスの世界チャンピオン戦は将棋のタイトル戦と違い、1年に1回ではなく2年に1回なので、お祭り感が強く、海外の盛り上がりもすごいです。
というわけで今回は、素人エンジョイ勢の私がお気楽に観戦して印象に残ったゲームなどを簡単に紹介していこうと思います!
全棋譜はこちらから→World_Chess_Championship_2021(英語版ですが、グーグル翻訳でも十分読めます)
第2ゲーム 白番カールセンが圧倒的不利に
まず印象に残ったのが、2ゲーム目のカールセンが白番でいきなり押された1戦。
ここから白のカールセンが20.Rb1として駒損を許容していく指し方をして、形勢不利に。中継のエンジンではたしか、ここで20.Be3として互角を示していたのですが、見えづらい手のように思います。
結局ドローに持ち込むことに成功したカールセンですが、2局目から圧倒的不利に追い込まれているのを見て、「これはカールセンが防衛失敗してしまうのでは…?」と思わされましたね。
第6ゲーム 7時間45分の史上最長のゲーム
そしてしばらくドローが続き、スコアに差がついたのがこの第6ゲームです。
生中継を見てた私は、この局面でドローになると思って寝たのですが、ここからエンドゲームの鬼のカールセンがじっくりネポを追い詰め、勝利を収めます。
エンドゲームを勉強することの重要性を感じさせられる鮮やかな勝ち方で、非常に話題になったゲームだったとか。
クラシカル(持ち時間の長いゲーム)はマスター同士だと勝敗がつかずドローになることがほとんどですが、そんな中エンジンがドローを示すエンドゲームを緻密にねじ伏せる勝ち方は「クラシカルは終わっていない」と感じさせてくれます。
ちなみにこの1局は7時間45分の激闘で、136手の世界チェス選手権史上最長のゲームになったそうです。
将棋観戦の感覚でいると麻痺してしまいますが、7時間45分はチェスではめちゃくちゃ長いゲームで、136手も将棋的計算だと272手になるので、相当な熱戦だということがわかりますね。
第9ゲーム ネポ、痛恨のBlunder
上記の第6ゲームは小さなミスでエンドゲームに押し負け、第8ゲームはポーンを落として負けてしまうという、悪い流れが続いていたネポですが、第9ゲームではとんでもない悪手をやらかしてしまいます。
ここで白のネポが27c.5??とポーンを逃しましたが、27.c6で白のビショップの逃げ道がなくなってしまいピースダウンに。
この局面をパッと見せられたら、c4のポーンが取られそうなので守る手から考えたくなりますが、ちょっと眺め続けていたらc6でビショップが取られるのがわかるので、f3~Be4を読み進めるところ。
私レベルでも1分考えたら多分気付けるので、マスタークラスならひと目で分かるはずです。
それを見逃してしまったのは、ネポが弱いとかではなく、それだけ世界チャンピオン戦は強くプレッシャーがかかる舞台であり、チェスは本当にメンタルが重要なゲームなんだと改めて思わされましたね。
チャンピオン戦の最後のほうは熱戦にならず、カールセンが一方的に蹂躙するゲームが多かったのは残念ですが、現世界チャンピオンがどれだけ強いかを知らしめたマッチでした。
なお、今回のチャンピオン戦防衛で、カールセンは2023年まで世界チャンピオンが確定したので、2013年から10年間世界チャンピオンということになります。
今回は第2ゲームを除き、危なげなかったカールセンですが、今年度のパフォーマンスでカールセンを超えるような若手も台頭しているそうなので、元世界チャンピオンのカスパロフの15年間チャンピオン防衛を超えることができるか、今後も楽しみですね!