将棋とチェスの大きな違いと言えば、「取った駒が使えるのが将棋、使えないのがチェス」という点です。
なので将棋は序盤から終盤に向けてダイナミックな展開になり、チェスは終盤になるに連れて盤上の駒が少なくなっていくので、地味な展開になりやすいです。
しかし今回紹介するクレイジーハウス(Crazyhouse)は取った駒を持ち駒として使うことができるチェスとなっており、序盤から終盤までずっとダイナミックな展開が続くゲームとなっています!
飛車と角の動きができるクイーンや、八ヶ所に動ける桂馬などなど将棋目線で見ればぶっ壊れ性能な奴らが持ち駒としてエンドレスに使えるチェスは面白いのか?と最初は思いましたが、やってみると超面白いです!
特に将棋ファンにやってもらいたいと思うので、一端の将棋ファンとしてクレイジーハウスの魅力を伝えていきたいと思います!
クレイジーハウスの遊び方
クレイジーハウスは基本的にネット対戦を推奨します。
Chess.comやlichessといった馴染みのあるチェスサイトでクレイジーハウスが用意されていて、プレイしている人もそれなりにいるようです。
どちらのサイトでも指してみた感じ、lichessのほうが対人間のマッチングスピードが早かったので、最初はlichessでクレイジーハウスをやってみるのが良いかと思います。
とりあえず人間じゃなくてコンピュータ相手に試してみたいという人も多いと思うので、以下の赤線四角をポチポチ押していけばコンピュータ戦ができます。
これはブラウザ版の画像ですが、アプリ版lichessでも同じように操作すればクレイジーハウスをプレイすることができますよ!
ちなみにネット対戦を推奨する理由としては、クレイジーハウスは取った駒を持ち駒として使えるのですが、色を変える必要があるのでチェスの駒を2セット以上用意する必要があるためです。
チェスセットを2個用意したとしても、駒の取り合いが激しく行われるクレイジーハウスでは、一々駒の色を交換しているとテンポが悪くなってしまいそうです。
クレイジーハウスのルール
クレイジーハウスは取った駒を再利用できるというルール以外は普通のチェスと変わりません。
本当に将棋版のチェスになったというイメージを持って大丈夫です。
例えばこの局面、持ち駒にポーンが1つあるので、d5にポーンを打てばビショップとナイトの両取りになります。
もしくはRxd7+とナイトを取りつつチェックをかけて、Bxd7であればB@c5と持ち駒のビショップを打って王手クイーン取りがかかります。
細かいルールとしては、
- 打ち歩詰めならぬ打ちポーン詰めはOK
- ポーンは1段目、8段目に打つことはできない
- 打った駒は動いた駒と見なすので、打ったルークをキングでキャスリングはできない
- プロモーション(成り)した駒を取ったときはポーンとして自分の駒になる
こんな感じですね。
将棋ができる人にはそこまで違和感のないルールです。
クレイジーハウスの駒の価値
クレイジーハウスは普通のチェスと違って駒の価値が異なっています。
垂れ歩のように使って即クイーンになることができるポーンとキングを詰ますときに良い働きをしてくれるナイトは価値が上がり、クイーンはかなり価値を下げています。
駒 | 点数 |
ポーン | 2 |
ビショップ | 3 |
ナイト | 3.5 |
ルーク | 4 |
クイーン | 6 |
クイーンがナイト、ビショップ2枚より価値が低いというのがクレイジーハウスをやっていて一番受け入れにくいところです。
しかし実際にはクイーンを捨ててでも敵キングを攻めるということは結構あるので1例を紹介していきます。

白がN@f7とクイーンとルークの両取りに打った手に対し、「両取り逃げるべからず」の将棋の格言通りの@f3と攻撃された局面です。
クイーンを取った手が次にQ@f7#までの1手詰めろですが、Nxd8と取り返してf7の地点に利くので受かっているという読みのようです。
普通のチェスならこんな序盤からクイーンを捨てるというのはありえないので、感覚が狂う手ですよね。
そしてちょっと進んで下図。

ぼんやりとN@g5と打たれましたが、これはN@e2+にKh1と逃がすと、gx2+ Kxg2 Bh3+以下詰まされてしまいます。
一方クイーンはまだ有効な打ち場所がないので、ナイトやビショップをたくさん持っているほうが攻撃力が高いこともあるという一例でした。
クレイジーハウスや普通のチェスと比べてポーンとナイトの価値が上がってクイーンの価値がかなり下がっている
クレイジーハウスの定跡
クレイジーハウスにも定跡のようなものは存在するようです。
白番では普通のチェスと同じく、1.d4もしくは1.e4から中央支配を狙っていくのは良い指し方となります。
黒番はフレンチや1.d4 g6からフィアンケットに組む指し方などが有力です。
また、クレイジーハウス特有の面白い指し方も見かけました。

e5とナイト取りにポーンを伸ばした手にナイト取りを放置してd5と伸ばすのが面白い一手。
ナイトを取る手にはeポーンで取り返しておけば、f8のビショップを展開し、手早くキャスリングすることができます。
クレイジーハウスは普通のチェス以上にテンポが重要なので、このようにポーンとの交換ぐらいならテンポを優先する指し方もあります。
他にはオープニングの注意点としてはこんなのがあります。
- 通常のチェス以上にf7の地点が弱いので、キャスリングをさせないためにBxf7+とビショップを捨てる手すらある
- シシリアンやカロカンのようにcファイルのポーンを伸ばすのもあまりよくない。N@c7+と打たれる隙ができたりするため
- 普通のチェス以上に無駄にポーンに動かすのは命取りになりやすい
クレイジーハウスをやってみた感想
将棋経験があるおかげか、持ち駒を使えるということにそこまで抵抗なく指すことができています。
人間とクレイジーハウスを指すと、相手は普通のチェス感覚が抜けていないのか、あまり持ち駒を使わず盤上の駒を動かしてくる事が多いです。
逆にぼくはバンバン持ち駒を打ちつけていくのでその辺りにギャップを感じましたね。
あとはクレイジーハウスは全然堅く囲うことができなくて戸惑います。
キャスリングしている形でも持ち駒を惜しみなく打ちつければいきなり詰むということがあったり・・・。
将棋でいうゼット(絶対詰まない)の形はクレイジーハウスでもかなり重要そうです。
他には駒の性能が強すぎるせいで適当に駒を打ちつけていけばクレイジーハウスでも、たまにはちゃんと詰みを読みきらないといけない局面が出てきます。

こんな感じに有り余る持ち駒を打ちつけて詰ます展開ならいいですが、中段に逃げ出したキングを少ない戦力でうまく捕まえないといけないといけないときとかは、将棋の中段玉の詰将棋を解くのと同じようにしんどいですね。
印象としてはチェスの実力8割将棋の実力2割ずつ反映される感じなので、将棋チェスどちらも経験者なら、クレイジーハウスのアドバンテージはかなりありそうです。
なので将棋チェスどちらも経験者はぜひクレイジーハウスをやってみましょう!
まとめ
チェス版将棋の「クレイジーハウス」について紹介しました。
チェスファンも将棋ファンも楽しめるゲームとなっていて、見た目以上に戦略性が深いのでとっても面白いですよ!
ぜひ1度chess.comやlichessなどで体験してみていただければと思います!
私は将棋もチェスもそこそこ好きなのでクレイジーハウスにドはまりしてあっという間に1日が終わってしまってました・・・。。。
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