チェスのオープニングは無数にあり、適当にナイトやビショップを前に出しただけの手にも細かい戦法名がついているほど、研究が進んでいる恐ろしい世界です。
そんな無数にあるオープニングの中から、何を選んで指していいのか、チェスの経験が少ない初心者の方は悩んでしまうかもしれません。(私もそうでした…)
そこでこの記事では、白番(先手)になったとき専用のオープニングと、黒番(後手)になったとき専用のオープニング、それぞれ3つずつ紹介していきます!
初めのうちはガンガン攻めるほうが楽しいので、攻撃的なオープニングが多めですが、そこまで激しくならないオープニングも選んでいるので、自分の好みにあったオープニングが見つかるはずです。
チェスのオープニング選びで悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Contents
白番のおすすめオープニング
白番でのオープニングは大きく分けると、
- 初手e4
- 初手d4、Nf3など
の2つに分けることができます。
キングの頭のポーンを突き出す初手e4のほうが、キングの守りが薄い分後々激しい展開になりやすいので、
- 激しいのが好きな人は初手e4
- やや大人しめな展開が好きな人はe4以外
と自分の好みに分けてオープニング選択をするのがおすすめです。
それではまずは、e4から始まるオープニングを2つ見ていきましょう。
ルイ・ロペス
ルイ・ロペスは15世紀のチェス世界チャンピオン、ルイ・ロペス・デ・セグラの名前にちなんでつけられたオープニングです。
現代チェスでも最もよく指されているオープニングの1つで、ナイトとビショップを展開し、キャスリングを急ぐという基本に忠実な手が定跡になっている点で初心者の方にもおすすめできます。
ルイ・ロペスの勉強をしたい方は、「渡辺暁のチェス講義」という本がおすすめです。
序盤専門の本ではないのでルイ・ロペスに関しても少ししか載っていませんが、エンドゲームやミドルゲームの考え方など、オープニング以外も幅広く学ぶことができます。
キングズ・ギャンビット

チェスのオープニング名に「ギャンビット」とつくものがいくつかありますが、主にポーンを捨てる代わりに手得をして敵陣を攻撃しようという意味合いがあります。
中でもキングズ・ギャンビットは、自陣の防御力が弱くなるので、序盤からはあまり突かないほうが良いとされているfファイルのポーンを突いていく奇襲戦法です。
上図の2.f4に対して2.exf4と取ってきたら、ポーンを取り返すことはできませんが、その代わりに3.Nf3からどんどん駒を展開していきます。

上図のように進み、ポーンを1枚捨てた代わりに駒を手早く展開し、黒のf7の地点を狙っています。
これがキングズ・ギャンビットの定跡手順の一例です。
「初心者のうちから奇襲戦法をやるのはどうなの・・・」と思う方もいるかもしれません。
しかしキングズ・ギャンビットは他のオープニングと比べて黒番の受け方の種類があまり多くなく、事前に勉強してきた手順が実戦でそのまま使える可能性が高いというメリットがあるオープニングなのです。
トッププロ間ではキングズ・ギャンビットはうまくいかないとされていますが、初~中級者のうちは正しい受け方を知っている人も少ないので、あっさり勝てることも多いですよ。
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クイーンズ・ギャンビット

クイーンズ・ギャンビットは1.d4から始まるオープニングの中で最も人気で、ルイ・ロペスと並んでよく指されているオープニングです。
キングズギャンビットと同じように戦法名にギャンビットとついていますが、実はあまり奇襲要素のない戦法です。
例えば上図で2.c4に対して2.dxc4と取り返してきたとしても、3.e4と突いてビショップでポーン取りに当てることができます。
それを3.b5と守っても、4.a4と手順に攻撃を続け、いずれポーン損は取り返すことができるのです。

現状黒はポーン1枚得していますが、c4のポーンを支え続けるのは難しいです。
なので、プロの実戦では2.c4に対しては2.e6やc6とポーンを取らない手を指されることが多く、ギャンビットっぽい展開にはほとんどならず、陣形を整えたりする地味な展開になりやすいです。
ただしチェスは地味な展開にも面白さがあるので、チェスの戦略的な部分が好きな人にはクイーンズ・ギャンビットはぴったりなオープニングと言えます。
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黒番のおすすめオープニング
チェスは白番と黒番の勝率差がはっきりと別れているゲームで、トッププロ同士の対局になれば黒が勝つのはとても珍しくなってきます。
それ故に黒番でオープニングを選ぶときは、
- 危険を承知で勝ちを狙った激しいオープニング
- ドロー狙いの手堅いオープニング
このどちらかを選択することになります。
まずは激しいオープニングから見ていきましょう。
シシリアン・ディフェンス

1.e4に対して1.c5とポーンを突くのがシシリアン・ディフェンスです。
1.e4には色々な指し方があるのですが、シシリアン・ディフェンスが黒番の勝率がもっとも高く、激しい展開になりやすいオープニングです。
- ミハイル・タリ
- ボビー・フィッシャー
- ガルリ・カスパロフ
といった、攻撃的なスタイルの元世界チャンピオン達もシシリアン・ディフェンスを得意としており、フィッシャーに至っては1.e4に対してほぼシシリアン・ディフェンスしか指さなかったことで有名です。
シシリアン・ディフェンスは黒番で勝ちたい人によく採用されるため、深い変化まで研究されていて、1番指されている変化は「ナイドルフ・ヴァリエーション」と呼ばれる形です。

この形はフィッシャーがよく好んで指していたので、勉強をしたい人はフィッシャーの自戦解説を読みながら棋譜並べをするのがおすすめです。
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カロカン・ディフェンス

シシリアン・ディフェンスと違ってcファイルのポーンを1マスだけ進めるのがカロカン・ディフェンスの出だしです。
このオープニングは手堅い展開になりやすく、負けないドロー狙いの展開に持ち込みたい人におすすめです。
カロカン・ディフェンスの狙いとしては、自陣に閉じ込められやすいc8の白マスビショップを前に出して使うというのがあります。

カロカン・デフェンスは元世界チャンピオンのカルポフがよく指していたので、勉強をしたい人はカルポフの棋譜並べをしましょう。
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キングズ・インディアン・ディフェンス

キングズ・インディアン・ディフェンスは白に1.d4と指された場合に、1.Nf6から組み上げることができるオープニングです。
このオープニングも激しい展開になりやすく、先程紹介したタリ、フィッシャー、カスパロフといった攻撃的なオープニングを好むチャンピオンがよく指しています。
研究していないとすぐに形勢が悪くなってしまうデメリットはありますが、キングズ・インディアン・ディフェンスで攻め潰せたときの気持ちよさは他の戦法ではなかなか味わえません。
攻め好きの人は1度は経験してほしいオープニングです。
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まとめ
白番、黒番でそれぞれ攻撃的、大人しめなオープニングを紹介しました。
どのオープニングをやればいいか全く分からない方は、まずはキングズ・ギャンビットやキングズ・インディアン・ディフェンスと、攻撃的なオープニングを何回か指してみてから、合わないと思ったら大人しめなオープニングを指してみましょう。
自分に合う戦法が見つかったら、その戦法を得意としているチャンピオンの棋譜をひたすら並べることで棋力アップができます。
棋譜並べの方法は以下の記事で紹介しているので、よければ参考にしてみてくださいね。
