チェスはアニメや漫画で天才キャラっぽい人が「チェックメイト」っていいながらクイーンで追い詰めているシーンを結構見かけますが、現実の強豪プレイヤー同士で華々しいチェックメイトがかかることは稀です。
強くなればなるほど華々しいチェックメイトや攻めが決まることは少なくなり、ほんのちょっとの優位を生かして戦う…といった素人受けしない地味な展開になりやすいです。
そんなわけで世間でイメージされているより地味かつ、ドロー(引き分け)になることが多いチェスですが、ドローが多すぎるチェスはクソゲー、引き分けが少ない将棋は神ゲーという意見を目にしました。
そこで今回は将棋もチェスもそれなりに打ち込んだ経験のある私が、チェスはドローが多すぎるクソゲーなのかどうかを考えてみます。
チェスのドロー率
チェスはプレイヤー同士のレベルが上がれば上がるほどドロー率が増えてきます。
初心者同士ならどちらか一方がチェックメイトされて負けることが多いのでドローになることはほとんどないですが、トッププレイヤー同士が長い持ち時間で戦えば半分以上がドローになります。
例えば2018年の現世界チャンピオンのCarlsenとCaruanaのWorld Chess Championshipでは12戦連続でドローになり、持ち時間を減らした13戦目になってようやく勝敗がつくといった展開でした。
人間より遥かに強いコンピュータ同士だと更に勝敗がつきにくく、昔コンピュータ同士の対戦しているサイトで見たときは100戦中5戦勝敗がついているかどうかくらいの勢いだったように思います。
チェスはドローがあるからこそ面白い
確かに観戦者としてはドローになると勝敗がつかず面白くない部分はあります。
CarlsenとCaruanaのチャンピオン戦もリアルタイムで見ていましたが、序盤早々からクイーン交換になったときは「どうせドローになるだろう」と思って中継を見るのをやめた記憶があります(笑
トッププレイヤー同士の持ち時間の長い対局だとミスが出ることも少ないので最終的にドローになることが多く、それなら決着がつくことが多いブリッツのほうが見ているほうが面白いです。
しかしチェスをプレイする側としては、ドローとトーナメントの仕組みによって序盤戦術に深みが出てきて面白いです。
チェスのトーナメントではより多くポイントを取った人が優勝という仕組みで、
- 勝ち:1ポイント
- 負け:0ポイント
- ドロー:0.5ポイント
となっています。
なので、勝たなくても0.5ポイント取れるドローに持ち込めればトーナメントで単独1位で優勝という場面があり、星取りの状況に応じてドローになりやすい穏やかな序盤作戦を選ぶとかができます。
通常はドローが取れれば御の字の黒番でも、トーナメントの星取り状況によっては勝たないと優勝できない場面もあり、そのようなときは奇襲じみた作戦を使うとかもあります。
将棋でも後手番で千日手を狙う作戦はあるものの、狙い通り千日手になったとしても指し直しをして結局勝敗はつけることになるので、チェスのドロー狙いの序盤戦術とはまた違った感じですね。
まとめ
対戦者としてはチェスのドロー率の高い部分はクソゲーではないが、観戦者としては決着がつかないと面白くないのでクソゲーというのが私の見方です。
チェスは自分で指すか、観戦するならブリッツに限ります!