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チェス歴代世界チャンピオンの棋風や名局をまとめてみた

チェス 世界チャンピオン

この記事では、調べても意外と分かりにくいチェスの歴代世界チャンピオンの棋風や有名局などをまとめていきます。

各チャンピオンの有名局は、Chessgames.comで以下画像の赤四角線内「NOTABLE GAME」に1人につき10局紹介されているので、そこをタップすると見ることができます。

 

 

チェスの棋譜並べをして勉強したい人や、各チャンピオンの実力を見てみたい人などに参考になればと思います!

 

Wilhelm Steinitz (1886~1894)

Wilhelm Steinitz2

 Steinitzのデータベース

 

Steinitzについて

Steinitzは近代チェスの父と呼ばれ、ポジショナルプレーの重要性を説いていましたが、若い頃は攻撃的な棋風だったようで、彼の有名局は攻撃的な棋風が多く紹介されています。

 

Emanuel Lasker (1894~1921)

Bundesarchiv Bild 102-00457, Emanuel Lasker

Laskerのデータベース

 

Laskerについて

Laskerはチェスの歴史上最高記録の27年間もの間世界チャンピオンの座を守り続けた男で、物理学や数学者でもありました。

Laskerはチェスに心理学の要素を持ち込んでおり、まるで相手に催眠術をかけるようなプレイスタイルだったと言われていたようです。

なので序盤からわざと不利な展開を選び、相手の裏をかいた指し方をすることもしばしばあったようです。

また、彼はかの有名なアインシュタインの友人であり、アインシュタインに「彼がチェスにうつつを抜かしているせいで物理学の進歩が30年遅れた」と語ったというエピソードもあります。

 

José Raúl Capablanca (1921~1927)

José Raúl Capablanca 1931

Capablancaのデータベース

 

Capablancaについて

Capablancaは公式戦を生涯で567局指し、負けたのがたったの36局のみとなっていて、8年間無敗だった時期もある無敵っぷりでした。

さらに彼は世界チャンピオンとしては異例な、オープニングの研究などをしなかったそうです。

プレイスタイルとしては正確無比なエンドゲーム力を持っているため、ポジショナルプレイを好んで指しているようでした。

彼の有名局も素晴らしいポジショナルプレイを魅せたゲームが多く紹介されています。

また、コンピュータ解析によるとCapablancaの指し手が全てのチャンピオンの中でもっとも正確だったという結果も出ているようです。

 

Alexander Alekhine (1927~1935)(1937~1946)

Alexandre Alekhine Color

Alekhineのデータベース

 

Alekhineについて

Alekhineはかなりの攻撃的なプレイヤーとして有名で、彼の有名局も派手な攻撃を繰り出している対局が多く紹介されています。

また、1日14時間チェスの勉強を続けていたというエピソードもあるほど努力家なチャンピオンだったと言えます。

 

Max Euwe (1935~1937)

Max Euwe 1963

Euweのデータベース

 

Euweについて

Euweは世界チャンピオンとしては珍しく、チェスで生計を立てないアマチュアとして活躍し、数学者、ボクシング選手などとしても活躍していました。

チャンピオンの座を失ったあとは国際チェス連盟の会長に就任しています。

 

Mikhail Botvinnik (1948~1957)(1958~1960)(1961~1963)

Mikhail Botvinnik 1962

Botvinnikのデータベース

 

Botvinnikについて

Botvinnikはゲームに向けて徹底的に準備をして臨むことをした最初のプレイヤーとして有名な世界チャンピオンで、ポジショナルプレイを好んで指していたようです。

また競技活動以外にもチェスの学校を設立し、のちの世界チャンピオンを3人排出した教育者、そしてコンピュータチェスの開発にも貢献したプレイヤーとして知られています。

 

Vasily Smyslov (1957~1958)

Smyslov2002

Smyslovのデータベース

 

Smyslovについて

Smyslovはポジショナルプレイを好み、特にエンドゲームの強さに定評があるチャンピオンでした。

また、長い間第一線で活躍したプレイヤーでもあり、62歳という年齢になっても世界チャンピオン挑戦者決定戦の決勝に進むなど長い間棋力を保っていたようです。

 

Mikhail Tal (1960~1961)

Mikhail Tal 1962

Talのデータベース

 

Talについて

Talはチェスの歴史上最も攻撃的なプレイヤーとして知られており、リガの魔術師と異名がつけられるほど魔法のようなタクティカルプレイが魅力的でした。

また24歳という若さで世界チャンピオンの座を勝ち取っており、当時の最年少記録を更新しています。

 

Tigran Petrosian (1963~1969)

Tigran Petrosian World Chess Champion

Petrosianのデータベース

 

Petrosianについて

ペトロシアンは非常に慎重で守備的なプレイスタイルで、自分から攻めるということよりも相手の攻撃を防ぐことを第一に考えていたようです。

そのため、「くろがねのペトロシアン」と呼ばれ多くのプレイヤーに恐れられていたようです。

 

Boris Spassky (1969~1972)

Boris Spasski (1956) - corrected

Spasskyのデータベース

 

Spasskyについて

Spasskyはソ連出身の世界チャンピオンでしたが、国に見捨てられフランスに亡命し現在もチェスプレイヤーとして活躍しています。

Fischerとのチャンピオン戦の動画。

これはFischerがアマチュアでも見えるビショップを取られる手を指したことで有名な1局ですね。

Bobby Fischer (1972~1975)

Bundesarchiv Bild 183-76052-0335, Schacholympiade, Tal (UdSSR) gegen Fischer (USA) Crop

Fischerのデータベース

 

Fischerについて

Fischerは「完全なるチェックメイト」という映画や「ボビー・フィッシャーを探して」など日本語版の本になっているので、チェスのプレイヤーとして日本で最も有名な男であることは間違いありません。

チェスのプレイスタイルは攻撃的なオープニングを好み、白番ではe4、黒ではシシリアンばかりを好んで指すなど、非常に狭いオープニングレパートリーだったプレイヤーです。

 

Anatoly Karpov (1975~1985)

Anatoly Karpov (1967)

Karpovのデータベース

 

Karpovについて

Karpovはポジショナルプレイヤーとして知られ、黒番ではカロカンディフェンスを多く採用しています。

現在はチェストーナメントなどには出場していませんが、イベントなどでたまにチェスを指している姿を見ることができます。

Garry Kasparov (1985~2000)

Kasparov-34

Kasparovのデータベース

 

Kasparovについて

Kasparovは15年間もの間世界チャンピオン、レーティング1位の座を守り続け、世界ランク1位のまま引退していきました。

また、1997年にコンピュータチェスのDeepBuleと対戦し当時世界チャンピオンのKasparovが敗北したことは、チェスの枠組みを超え人工知能の発展として学校の教科書などに載ったりしています。

Kasparovは攻撃的なプレイスタイルと深い研究が魅力で、SicilianやKing’sIndianなどの黒番から積極的に攻めるオープニングを好んで指していました。

現在もチェスのイベントなどでたまにチェスをプレイしている姿を見かけることができます。

2014年に将棋の羽生さんとチェスイベントをやったりしています。

 

Vladimir Kramnik (2000~2007)

Kramnik in der 18. WM-Blitzrunde 2015 (siegreich gegen Aronjan)

Kramnikのデータベース

 

Kramnikについて

Kramnikは優れたエンドゲーム力を持つポジショナルプレイヤーで、オープニングの発展にも大きく貢献しています。

つい最近まで主要なトーナメントで活躍をしていましたが、2019年1月に引退を発表し、多くのプロからその引退を惜しまれています。

Viswanathan Anand (2007~2013)

VishyAnand09

Anandのデータベース

 

Anandについて

インド出身の世界チャンピオンで、アジアで初めての世界チャンピオンになった人物です。

Anandは驚異的な早指しで知られ、GM相手に5分ほどしか使わずに勝利するということもしばしばあったようです。

Magnus Carlsen (2013~)

Carlsen Magnus (30238051906)

Carlsenのデータベース

 

Carlsenについて

現世界チャンピオンのCarlsenはすでに歴代チャンピオン最強の呼び声高く、非常に正確なエンドゲーム力を持ち、あらゆるオープニングを指しこなしています。

レーティングも歴史上最高の2882を記録しており、大台の2900の更新に期待がかかっています。

レーティング推移

チェスではレーティングという実力を示す指標があり、勝てば勝つだけレーティングは上がっていきます。

レーティングは後の時代になるほどインフレ化したりするので、純粋に現代のチャンピオンのほうが過去のチャンピオンより強いとは言いきれませんが、参考にはなります。

そこで1809年から2016年までの当時レーティング10位までのプレイヤーが時系列ごとに分かる動画を紹介します。

 

 

動画を見るとほとんどその当時のチャンピオンがレーティング1位になっていますが、世界チャンピオンになったことがないプレイヤーもたまにレーティング1位になっているのが面白いところです。

個人的にはコンピュータで研究するのが当たり前になった時代でもレーティング1位を23年間保ち続けたKasparovが強すぎるというのと、Fischerのレーティング急上昇→急降下→消えるというのがツボでした。

 

タクティカルプレイヤーが棋譜を並べるべきチャンピオンは?

ここからは完全に個人的な趣味が含まれますのでご注意を。

タクティカル(攻撃的)なプレイを勉強したい人におすすめする棋譜を並べるべきチャンピオンは、

  1. Tal
  2. Kasparov
  3. Fischer
  4. Alekhine

この4人ですね。

攻撃的なチェスってどんなの?という人はとりあえずTalの有名局から並べてみましょう。

特にTalとFischerは日本語で解説されている棋譜集が発売されているので、本を買って並べるのがおすすめです。

 

 

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お布団マン
お布団マン
Talの有名局はすんごいサクリファイスが多いからぜひ見てほしい!

 

ポジショナルプレイヤーが棋譜を並べるべきチャンピオンは?

今度はポジショナルプレイヤーでおすすめのチャンピオンです。

ポジショナルというとちょっとした優位を価値に結びつけたりすることに注目しがちですが、黒番で確実にドローを取りに行くというのも重要です。

一流のチェスプレイヤー同士だと、黒番で勝つのは結構大変なことなので最初からドロー狙いということも多いですが、白番を持つ側としてはドローにせずに勝ちを狙いたい場面も多々あります。

そういうときに歴代のチャンピオンがどう凌いでいるかも感じ取っていただければと思います。

ポジショナルプレイヤーでおすすめなのは、

  1. Capablanca
  2. Petorosian
  3. Karpov

この3人です。

Capablancaは後世のコンピュータ解析でお墨付きの正確な指し手のチャンピオンなので、とってもお手本になります。

Petorosianは黒番でのドロー率が異常で、タクティカルプレイヤーと比べるとちょっと笑ってしまうほどの手堅さですね。

ポジショナルプレイこそ棋譜集を読んでじっくりと棋譜を並べたいところですが、この3人の日本語の棋譜解説集はないので、英語の本を頑張って読むか、1手1手しっかり考えて並べるしかないのが痛いところです。

 

自分の性格に合うチャンピオンが分かるクイズ!?

英語のサイトですが、2択のクイズを20問答えると自分の性格(プレイスタイル)に1番近いチャンピオンを紹介してくれるサイトがあります。

(正確にはチャンピオンじゃないプレイヤーも含まれていますが・・・)

自分の性格に合うチャンピオンを知りたい!という人はぜひ以下のサイトで2択のクイズをやってみましょう!

 

ChessPersonalityへ移動する!

 

ちなみにぼくは英語が全く読めませんが、グーグル翻訳の力を借りてなんとかやってみたところ、自分が1番好きなTalという診断結果でした!

 

 

Talの棋譜を1番多く並べたので、性格までTalになったのかと思うとちょっと嬉しいですね!

 

まとめ

チェスの歴代チャンピオンの棋風や有名局などのまとめでした。

こうしてまとめてみると、タクティカルプレイヤーもポジショナルプレイヤーも半々にわかれているような感じなのですね。

世界チャンピオンのレベルになっても「こうじゃないと勝てない」というプレイスタイルはなく、様々なプレイスタイルで戦えるということがチェスの面白さの証明みたいな感じですね。

各世界チャンピオンの棋譜並べをしたりするときの参考になれば幸いです!

 

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