Chess.comやlichessといったネットチェスで人気のBullet(ブレット)と呼ばれる超早指しチェスがあります。
持ち時間2分以下のチェスがブレットになり、特に1分切れ負けのブレットがよく指されています。
ブレットでも勝つためには素のチェスの実力はもちろん必要ですが、それ以外にも普通のチェスには必要のない必須スキルがあります。
もしブレットを一切やったことがない初心者の人がいれば、この記事を読むことでR200は上がることを保証します!
Contents
ブレットを指す理由
持ち時間が1分しかなく、切れたら即負けという慌ただしいルールのチェスをなぜやるのかというと、その理由は1つしかありません。
ただ楽しいからです(笑)
もちろん新しく覚えたオープニングを試すためにブレットをひたすら指すとか、反射神経を鍛えるとかそういう目的はあります。
でも1分切れ負けはあまりにも考える時間がなさすぎて、数をこなすにしても3分切れ負けのブリッツのほうが勉強になるんじゃないかと思うのです。
逆に1分切れ負けで1手に1秒ぐらいしか考えずに指すチェスに慣れると、深く考えることができず、いわゆる「手が荒れる」状態になってしまいます。
なので上達にはデメリットの部分が多いのがブレットです。
もし「ブレットを指すことでチェスが上達するか?」ということを知りたくてこの記事に辿りついた人には、
「多少は上達するけどブリッツとかスタンダードな持ち時間のほうが上達の効率が良いからブレットはやめておけ」とアドバイスしておきます!
でも上達とか関係なく楽しすぎるのがブレットなので、そんなブレットで勝ちたい人にこれから必須のテクニックを伝授します。
次の手を予約できるプリムーブ
プリムーブとは何か?というのをまずは早指し王Hikaruが実況しているチェス動画から見ていただきましょう。
序盤から1秒以下というか、相手が指した瞬間駒が動いているのが分かると思います。
これがプリムーブと呼ばれる技で、相手が何を指してきても自分がこう指すというのを予約しておくような機能です。
プリムーブを使うのに有効な場面は、序盤の決まりきった定跡手順や、駒を取られたときの取り返すときのような相手の手が予測できるときです。
パソコンではプリムーブは1手先どころか何十手先まで予約可能なので、1秒間に10手指すことも可能です。
なのでプリムーブをうまく使うことは勝敗に大きく影響します。

プリムーブを逆用したハメ手
プリムーブを使って時間の節約をすることが1分しかないブレットでどれだけ重要かはブレットを何局か指せばすぐ実感できると思います。
なので特に序盤はプリムーブを使って駒組みを進める人が多いですが、その心理を逆用する戦術があります。

例えばこの局面ですが、定跡なら白に何を指されてもBg7と指すところです。
なので普通はBg7にプリムーブをしておくのですが、それを逆用する必殺の一手があります。

それがBh6!です!
普通に考えてビショップを取って終わりなのですが、ブレットなら普通はBg7とプリムーブしているので、Bxg7と取られてゲームセットになります(笑)
こんな単純なハメ技ですが、私は10回くらいこの技を喰らっています。
もちろん相手がこういうことをしてくる輩と知っていれば安易にプリムーブはしません、
しかし不特定多数と当たるネットチェスではBh6とやってくることを警戒してプリムーブを設定しないより、Bg7をプリムーブしておくほうが時間の節約ができてお得なのです。
これは本当に一例でしかないですが、ブレット特有のプリムーブを使った駆け引きはたくさんあります。
プリムーブの設定方法
chess.comでは「設定」から「ライブチェス」に移動してプリムーブの設定をすることができます。

プリムーブを有効にするを入れておき、ついでに1手ごとに確認するのチェックを外し、クイーン自動昇格もチェックをいれておきましょう。
チェスは極稀にクイーン以外にプロモーションしないといけない局面もありますが、ブレットでは滅多に出てきません。
それを考えるとクイーンを選ぶ1秒の時間が惜しいので、クイーン自動昇格にしておいたほうが勝率が上がります。
局面が必敗でも時間で勝っていれば時間を落とすことを考えよ!

これはあるブレットの対局です。
局面は白必勝ですが、時間が先に切れてしまったので黒の勝ちです。
どんなに局面が良くても時間が先に切れたら負けなので、ブレットでは最後まで諦めてはいけません。
逆に局面が必勝でも相手より時間が少なければ、プリムーブを駆使して時間を減らさないように手を指し続けないといけません。
時間を落とすのにもっとも有効なのは無駄にチェックをかけ続けることです。
チェックをかければキングを守る手以外は指せないので、相手のプリムーブを外しやすいというメリットがあります。
相手のプリムーブを外せば1秒は稼ぐことができるので非常にでかいです。

たとえばこの局面。
次にRa1が受からず黒の勝ちですが、黒の持ち時間が残り2秒しかなかったら勝ちを狙う方法があります。
まずはRe2+とチェックをし、Kxe2にはRh2+Kg3にRg2+とチェックを続けてRa1のチェックメイトを許さず時間黒の時間を落として勝ちを狙うことができます。
逆に時間がたっぷり残っていたとしたら相手の油断を誘うしかありません。
その油断とは決め打ちのプリムーブです。
黒目線で見ればRe2+くらいしかチェックをかけてくる手がないので、Ra1にプリムーブをかけておいても問題ないだろうと考えてしまいそうですが、それを逆用する1手があります。
それがRh1!で、Ra1にプリムーブをしている黒はRxa1とルークを取られてしまい、チェックメイトすることができずに逆に必敗になってしまいます。
こういうテクニックが存在するので、時間が残っているときは最後まで油断せず、相手の手を見てから指すようにしたほうがいいです。
相手のプリムーブを外すために無駄なチェックをかけて時間を落とせ!
ブレットに適したオープニング
ブレットに適するオープニングと適さないオープニングがあります。
基本的には相手に攻めまくられるようなオープニングはブレットには向いていないです。
理由は人間攻めより受けの手を考えるときのほうが時間を使うので、攻められる側の時間が先に減ることが多いからです。
あとは初手e4とd4ならd4のほうがブレットには適しています。
なぜならe4はd5やNf6のような手があり、d4にプリムーブをしていると、e4のポーンが取られて苦戦を強いられてしまいます。
その点初手d4ならc5やe5みたいなハメ手のような手をやられてc4にプリムーブしていたとしても、d4にクイーンが利いているのでポーンを取り返すことができます。
e4はどうしても相手の手を見てから指さないといけないということもあり、安易にプリムーブがしにくい展開になります。
個人的には何でも白でも黒でも1.g3から2.Bg2とフィアンケットにするようなオープニングは相手の手を見ずにプリムーブができるのでブレット向きなんじゃないかと思っています。
まあブレットに適していないとしても、普段から指し慣れているオープニングを選ぶほうが勝率は高いです。
相手より知識のあるオープニングなら、時間を使わずに優位に立つことができる可能性が高いですからね。
- ブレットに適したオープニングは相手の手を見る必要が少ない指し方(d4系)
- ブレットに適していなくても、自分が指し慣れているオープニングのほうが勝率は1番高い
ブレットはスマホで指すのが1番良い
パソコンでやるブレットは何手先でもプリムーブを予約しておけるというメリットがあります。
これはポーンを動かしてプリムーブするだけという局面で、スマホで指すのと比べて大きく有利です。
一方スマホアプリだと1手先までしかプリムーブができませんが、プリムーブ抜きならスマホの方が早く指すことができます。
パソコンだとマウス操作になるので思うようにカーソルが動かないとかがありますが、スマホなら指で操作できるのが大きいです。
それならタブレットも同じじゃないかと思われそうですが、画面が小さいほうがより素早く指すことができるので、ブレットはスマホが1番有利です。
ブレットで勝てるようになるには指しまくるのがベスト
ブレットは普通のチェスどころか3分以上の持ち時間のブリッツとも違ったゲーム性を持っています。
なのでブレット始めたてはブレット特有のテクニックに慣れなかったり、どうしても時間を使って考えすぎてしまったりします。
しかしたくさん数をこなせば、自然とブレットに適用したテクニックや時間の使い方が身についてきます。
ブレットに初挑戦するときは相手に敬意を持って、どのようなテクニックを使っているか意識するようにしましょう。
そうすると絶対に感心するテクニックを使ってくる人に当たるので、それを自分も真似するようにすればあっという間にブレットマスターになれます。
まとめ
ブレットで勝つためのテクニックなどを紹介しました。
ブレットで勝てるようになりたいという人はぜひ参考にしてみて欲しいと思います。
最後に、ブレットは連敗をしやすく、熱くなりやすいので、連戦をして気付いたら時間が過ぎていたという現象が起こりがちです(笑)
なので時間を大切にして、健康的にブレットを楽しみましょう!
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